冬ソナ④

冬ソナにはもう一つ大きなテーマがあった。それは「父親捜し」だ。チュンサンが転校して来た理由がそれで、最後にそれが持ち上がる。私が冬ソナから、衝撃を受ける理由の一つだと思う。
私の父は高校二年生の時に死んだ。それは、12月30日で、翌日の大晦日31日は、葬式の日になった。そして、迎えた新年は喪失感と悲しみに満ちたものとなり、それ以降、年末年始を祝う気持ちはなくなった。楽しかった恋の想い出も上書きされて、長い間思い出すこともなくなった。
チュンサンは母親に「父親は死んだ」と教えられていた。それでも、チュンサンは父親を捜していた。
私は、目の前で父の死を見て、父の死亡届も私が出した。それでも、私は父を探し続けていた。それは、父の代わりになる人を探していたことになるのかも知れない。
教会へ来て、イエス様を信じた時、天の父までも与えられた。絶対に埋め合わせることはできないと思っていたものを、教会は、そして、信仰は与えてくれた。
結婚をし、子どもが生まれ、子どもを胡坐の中に座らせて、遊んでいた時に、心のうちから湧き上がるようになものに気が付いた。小さかった頃、父が私を胡坐の中にいれていてくれたことを。その瞬間に父が私の中にいたことを見つけた。
私はチュンサンのように、記憶喪失になったわけではない。でも、思い出せないものは、たくさんある。でも、思い出した時にそれが『宝物』になることがある。
年をとったせいか、昔のことをよく思い出す。それはそれで楽しい。でも、まだまだこれからの想い出を作りたい。

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