冒頭のゼロ戦の飛ぶシーンに目が釘付けになった。あまりにも美しいゼロ戦の姿。これほどに美しい飛行機を日本は戦時中に作っていたのかと、改めて感動した。しかしまた、そのシーンはあまりにも悲しい姿に見えた。機底に取り付けられた丸い物体。すぐにそれが特攻隊の装備だとわかる。彷徨うように揺れる機体。葛藤の中にある操縦士の心を描いているようだった。
学徒出陣で徴兵され、周りからイジメを受けて、仕方なく選ばされた少尉の地位。上官として、イジメた奴らに仕返しをし、見返すほんのわずかな瞬間を過ぎると、250キロ爆弾を積んで、敵戦艦に突撃していく若者たち。
敷島は逃げて逃げて生き残った。
しかし、生き残ったことさえ、『恥』と言われた時代。なぜ、死ななかったのかと言われる。
伯父が「特攻隊の生き残りには、近づけんな」と言っていた。「あいつらは、今でも死のうと思っている。近づくとやけどする」と。何のことか子どもの私にはわからなかった。
第二次世界大戦を無理やり始めて、敗戦したのは、日本だったのだと、思い出した。
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