アダムによる責任転嫁

 【新改訳2017】創世記
2:16 神である【主】は人に命じられた。「あなたは園のどの木からでも思いのまま食べてよい。
2:17 しかし、善悪の知識の木からは、食べてはならない。その木から食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」

3:1 さて蛇は、神である【主】が造られた野の生き物のうちで、ほかのどれよりも賢かった。蛇は女に言った。「園の木のどれからも食べてはならないと、神は本当に言われたのですか。」
3:2 女は蛇に言った。「私たちは園の木の実を食べてもよいのです。
3:3 しかし、園の中央にある木の実については、『あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れてもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ』と神は仰せられました。」
3:4 すると、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。
3:5 それを食べるそのとき、目が開かれて、あなたがたが神のようになって善悪を知る者となることを、神は知っているのです。」

 ———少し長くなりますが、大切なことなので、お付き合いください。———
 教会が『男尊女卑』的であるべき根拠として上げるのが、「エバ(女)が先に蛇にだまされた」ことが何よりも悪いとしているからである。時には『誘惑された』という表現を使って更に女性をおとしめている場合もある。しかし、この記事を良く見ると不可解な点がある。
 まず、神様がアダムに言った言葉とエバが蛇に言ったことにはズレがある。これは、アダムは神様から直接言われたことだが、エバにはアダムが教えたからだと推察できる。
 神様はアダムに「善悪の知識の木」と言っているのに、エバは「園の中央にある木」と言っている。園の中央には「善悪の知識の木」と「いのちの木」の二本が立っていて、「いのちの木」の実を食べても死なないし、「善悪の知識の木」の実を食べて死ぬことになったとしても、「いのちの木」の実を食べれば、死ななくなったはずだ。
 だから、蛇が言った「決して死にません」という言葉は、半分は嘘だが、半分は本当のことだったし、「園の中央の木(この言葉がだまされるきっかけになっている)」の両方の木の実を食べれば、死なないのだから、嘘ではないとも言える。
 どうして、こういうやり取りになったのかを想像してみると、「アダムが正しくエバに伝えなかったから」と考えられるのだ。「『善悪の知識の木』からは食べてはダメだよ」と最初は言ったかも知れないが、エバは「どっちが『善悪の知識の木』で、どっちが『いのちの木』なの?」と聞いただろう。アダムもちゃんと理解していたか、説明が難しかったか、見分けが付きにくかったのかも知れない。それで、「とにかく『園の中央の木』は、食べたらいけないのだから、触らなければ食べることはないから、『触れてもいけない』」と教えたと考えられる。そして、「死ぬ」ではなく、「死ぬといけないから」と言葉が弱くなっているのは、二本のうち一本の「『善悪の知識の木』を間違えて食べて」、「死ぬといけないから」と説明したからだと考えられる。
 アダムがエバに丁寧にきちんと伝えて理解させておけば、エバは蛇にだまされなかったと考えられる。つまり、エバが蛇にだまされた責任は、アダムにあることになる。
 そして、「善悪の知識の木の実」を食べて死んでいないエバに勧められるとあっさり食べている。これも「(いつかは)必ず死ぬ」であって、「すぐに死ぬ」ではない。
 また、ローマ人の手紙の中では、人が死ななければならなくなった罪について、「アダムの違反」と言っており、「エバの違反」とは言っていないのである。アダムが違反を犯したのは「エバの勧め」があったからではあるが、責任の所在はやはりアダムにある。
 それを「エバがアダムを誘惑した」「女が男をだました」的なことを言い、エバ(女)が悪いことをしたのだと教える。これは、完全に嘘であり責任転嫁である。
 それで、「女の言うことを聞いてはならない」とか、「教会では女は教えてはならない」的な話に現代でもなっている。パウロがそう教えなければならないほど当時の教会は「頑な」だったのだと考えるべきで、その頑なさを捨てるべきだったのに、二千年もの間守り続けて来ていたのは、そのような教会はイエス様のこともイエス様の言葉も正しく理解できなかったからだろう。その教会の教えが、一般社会にも影響して、女性の立場を低いものに、悪いものにして来たのだと考えられる。
 だから、はっきりと言わなければならないのは、悪いのは、エバ(女性)ではなく、アダム(男性)である。アダムの判断の誤りと意志の弱さが、全人類を罪に堕としたのである。

 男尊女卑的な世界の構造は、決して神様の御心ではない。女性差別をしていたり、女性教役者を認めてない教会は悔い改めるべきだ。そして、その「頑なさ」を、直ちに捨てるべきだ。

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