核武装して、何をしますか?

 最近、「戦前回帰」をしようとしているような雰囲気があるように思う。私が子どもの頃には、第二次大戦が「まだ終わっていない」とか「まだ負けていない」とか、そうした感覚を持っていた人たちがかなりの数でいた。「敗戦」という言葉を嫌い「終戦」と言っていた人たちが相当数いたと思う。「国は負けても、『自分』は負けていない」という人たちもいた。
 私たち戦後生まれの者は、自分が戦った戦争でもないし、戦争が終わった後に生まれたのに、「戦争責任を負いかぶせられた」という気持ちも多分にあった。「何で勝ってくれなかったのか?」という思いもあった。
 戦後八十年を迎え、未だに世界は日本の戦争責任を問い、様々な交渉の時にプレッシャーをかけてきている。トランプ関税にしてみても、「同盟国」というのは名ばかりで、「属国」と思っているのだろうと思うし、バイデン前大統領のUSスチールの売却を認めなかったことも、アメリカ人が日本をどう考えているのかを表しているように感じた。
 中国、韓国、北朝鮮などにしても、日本の戦争責任を忘れてはいないというか、それを突きつけては日本をコントロールしようとする。安部故首相の総理談話で、日本の戦争責任を「子孫には残さない」的な発言をしてみたところで、海外の国々がそれを「そうですか」と言って受け入れることなど考えられない。日本人の独りよがりにしか過ぎない。
 そんな中で「核武装」の話が出てきた。核武装して、戦前の大日本帝国になれたら、「何をしたい」のですか。
 核兵器で脅して、韓国を併合し、北朝鮮に宣戦布告をして、中国に再び満州国を作り、中国を植民地化し、八紘一宇を成し遂げ、大東亜共栄圏を作りますか。そして、アメリカを核で脅して、テーブルに着かせ、トランプ関税を廃止させることができると思っているのでしょうか。
 たぶん、どれも戦前の時以上に不可能なことだと思います。
 日本が核兵器を作り始めれば、世界から経済封鎖されて、三か月に満たないうちに、エネルギーも食料も必需品も底をついて、白旗を上げることになるでしょう。
 戦後の日本が築き上げてきた「超地道な外交」の上に、蜘蛛の糸をつかむような離れ業でようやくここまで来たものを、たった一言で地獄へ逆戻りするようなことをしてならないと思います。
 「平和国家日本」の旗を振り続けることだけが、生き残る方法だと思う。

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