脳みそではありません。

 高松で一年間中学校の美術教師をしていた時、夏に研修会があるからということで、参加した。確か脳神経外科の先生だったような気がするけれど、その先生が脳の発達とか、色々教えてくださった。その時に、人間の脳のホルマリン漬けの標本を持って来てくださって、「全員に回して見てください、触ってみたい方は触っても大丈夫です。」のようなことを言って、順々に回してくださった。
 私の机の上に来た時に、思わず好奇心が芽生えて、あれこれと触って、持ち上げたりして、観察させて頂いた。じっくり見させて頂き、その重量感も今でも手に残っている。
 次の席の人に回して、前を向いた瞬間にめまいがした。「人の脳の標本」ということは誰か一人死んでいるのだと思った。それから、身体に震えが来て、寒気が走った。
 それから、しばらく不安定な日々が続いたが、やがて忘れてしまい、平穏な日々に戻った。
 ある時、クルミの実を殻付きでもらって、♡型をした金具で、こじ開けて、中身を取り出した瞬間に、「脳の標本」を思い出して、目をつぶって口に放り込んだ。ここでひるんでは一生クルミが食べられなくなると思ったからだった。
 それにしても、よく似ていると思う。
 今もある程度平気でクルミは食べられるけれど、毎回と言っていいほど、標本を思い出す。「これは脳みそではない」と、自分に言い聞かせているのがわかる。
 トラウマを持っている方たちは本当に大変だと思う。私の経験など全然大したことではないと思いけれど、何かの引き金で、トラウマを思い出すだろう。
 私の主であるイエス様は「癒し主」と呼ばれています。皆様が癒されますことを心からお祈りしています。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました