台湾有事

 高市首相が台湾有事は日本の「存立危機事態」になりうると国会で話した。それは「集団的自衛権」を行使できるということだ。つまり、中国と戦争状態に入るということを意味している。
 日本は台湾のために中国と戦争をするのか、ということを本気で考えなければならない事態になっている。
 子どもの頃だったと思うけれど、「一つの中国」という言葉を聞いたように思う。それは国連で、中国と台湾と二つの国としていたものを、台湾を中国の一部として、国としては認めないというものだったように覚える。
 それは、中国の願いを聞き入れるという感じだったのだろう。
 ところが、今その台湾を巡って、大きな問題となっている。
 中国の海洋進出が起こり、台湾を防波堤としたい各国と中国の思惑が激突しているからだろう。
 しかし、こういうことが起こる度に思わさされるのは、「台湾自身の思い」はどうなっているのだろうかということである。
 ウクライナの問題もウクライナの思いとは別に大国のロシアとアメリカ、ヨーロッパの思惑で決められる。時には、プーチンとトランプによって決められるという感じである。勿論「正しい」のであれば良いが、その正しいがはっきりしない。
 ウィグル自治区のことにしてもそうだが、現地の人がどう考えるのかということがほとんど無視されている。確かに現地の人たちが「非人道的で残酷なことばかりをしている」というのなら、放ってはおけないと思うけれど、台湾やウィグル自治区の人たちがそんなことをしているとは思えない。
 問題は「民主化」であり、中国の場合は中国共産党の利益、ロシアの場合はロシアオリガルヒの利益のために見える。アメリカはネオコンのだめだろうか。その中での正義は、普遍的恒久的なものではない。
 香港に対する中国共産党の態度を見ると明らかだろう。
 例えば日本が中国の一部になる方が幸せになれるのなら、そういう選択もあるのだろう。しかし、たぶん今の中国の一部になることを願う日本人はほとんどいないと思う。私が学生の頃はそんな考え方も多かったと思うけれど、実際の共産主義の成れの果てが現在の中国やロシアや北朝鮮だあるならば、選択する気にはなれないだろう。
 問題は、台湾の自治であり、台湾の意志である。日本人から思うのは、今の中国の一部にはなりたくない。台湾もなりたくないのではと思う。それに対してどこまで、台湾を援助していくのかという問題である。台湾有事とは、台湾の自治の崩壊ということで、台湾の自治が消滅することが、「日本の存立危機となるのだ」ということはどのくらい確かなことなのだろうか。
 台湾の自治が守られることを切に願うし、そのために日本も何かをしなければならないだろう。それが、「集団的自衛権の行使」となり、日中戦争となるのだろうか。それは、ロシア、北朝鮮も一緒に、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパをも含めた「第三次世界大戦」にまで、拡大してしまうものなのだろうか。心配は大きくなるばかりだ。

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