日本の根幹を担うもの

　多くの科学者・研究者たちがこれまでにも何度も言って来たことを、今回のノーベル賞受賞者の北川進先生もおっしゃった。
　日本は、資源もなく、国土も少なく、農業などは自給率も低い。私の子どもの頃の社会科の授業でさえも「加工国」と言われていた。
　高い技術力によって、様々な工業製品を作り、それによって多くの利益をあげて来た。農業や水産資源ではなかなか利益を上げることはできないだろう。まずは食料の自給自足が何よりの課題だろう。そんな中で頼れるものは「工業立国」だろう。
　しかし、現在の日本の工業力は下がり、これまで途上国と言われていた国々に追いつかれ、追い抜かれている。
　そうした中でも、過去のには多くの科学者がノーベル賞を受賞して来た。それが、もう取れなくなるとも懸念されている。今、ノーベル賞を取っている人たちは、過去の研究成果によるものであり、今の最先端の研究者たちは、資金難や研究課程やテーマ、人間関係にまで苦しんでいる。しかし、何よりも大切な資金の少ないことはずうっと言われているが、政府は予算をつけようとはしない。いつも言い訳程度の資金しかない。
　きっと、議員が一番エライのだと言いたいのだろう。でも、実際に頭のいいのは、「科学者」である。議員たちは、そうした自分たちよりもエライ存在に対して、恐怖を感じているようだ。だから、資金を絞ることで、科学者を抑え込もうとしているように見える。
　日本の科学者・研究者のレベルが下がれば、海外との工業生産などのレベルも下がる。そうすれば、この国は利益を上げることはできない。自分で自分のクビを締めているだけだ。
　「基礎研究に資金を」とは、今の日本にとっても、将来の日本にも必要なものだろう。そして、一言付け加えさせていただきたい。それは、「紐づけないでほしい」ということ。色々、お金を出す時に、制限を設けたり、何か義務を背負わせたりすることで、自由に研究ができなくなる。
　科学者・研究者が自由にノビノビと研究をすることができるようにしなければ、本当の発見も発明も生まれて来ないだろう。
　どうか、科学者・研究者に自由を！