「ゴジラ-1.0」の中に、重巡洋艦高雄が登場する。その艦砲射撃に驚いた。ゴジラに出て来るのは普通自衛隊であるが、その火力とは比べ物にならない迫力だった。
戦艦大和の四十六サンチ砲の威力はこれの十倍だと聞く。
第二次世界大戦時代には、戦艦は既に時代遅れで、空母が主流になっていた。しかし、日本は巨大戦艦にこだわった。日露戦争の日本海海戦の大勝利に酔っていたのだろうか。
私が子どもの頃は、戦艦大和はまだ憧れのものだった。
この「ゴジラ-1.0」は、私をそんな子どもの頃へと引き戻す。罪な作品だと思う。
平和が続いた日本では、久しぶりに見る戦闘シーンだった。
人殺しの道具。ゴジラという怪獣を相手になら、正義の武器。
ゴジラは、ビキニ環礁での核実験によって、突然変異したイグアナだったように思うが、今回は日本に古来よりいるバケモノのようだ。そのバケモノが原爆によって、怪獣になった。だったら、日本ではなく、アメリカに復讐に行けばよさそうなのに、なぜか日本にやって来る。そして、核兵器にも近い熱戦で、日本は再び焦土と化す。
最近のゴジラは、「自衛隊のコマーシャル」くらいに思っていたけれど、「ゴジラ-1.0」は、敗戦の恨みのように感じる。
平和を求めているはずなのに、世界は戦争と分断と対立ばかりだ。
アメリカの大統領選が「ゴジラvsメカゴジラ」に見える。
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