くみひも

私は「くみひも」に昔から興味を持っていた。具体的に頭に浮かぶのは「リリアン」で作る紐のようなものだった。やがて、日本刺繍のことを母から聞いて、自分でもやってみたくて、絹糸を買って来て「四本取り」とか言ったと思うけれど、絹糸を自分で撚って刺繍糸を作ってから、刺繍をした。桜の花を一輪作るだけで、膨大な時間と労力が必要だった。そんなことに興味を持ったのは、やはり母が細い紐を撚って太い紐にしてほしいと言った頃からだった。その後、藁で縄を結ったりした。
糸、紐、縄、綱…それらのものをとても不思議に思い、またとても「コワイ」ようなものに思った。
「君の名は」の中で、「組紐」が登場した時、何かとても不安定になり、畏怖さえ感じた。昔見た「クリフハンガー」のような映画でも、紐には命がかかっていることを思わさされた。
「命綱」という言葉がある。また、不謹慎かも知れないが、首を吊るのも紐だ。紐には命を左右する力がある。災害が起こると「絆」という言葉を良く聞く。「絆」は「きづな」だろう。
思いを込めて願いを込めて、紐を組む。「千と千尋の神隠し」でも、ゼニーバと一緒に紐を組む。その紐を髪どめにする。
私は「こと切れる」の「こと」は「琴」のことで、「琴の糸」つまり「琴線」のことだと思っていた。そして、この「琴線」は「心の糸」だと思う。「心の糸」が切れた時、人は死ぬのだと思う。その「心の糸」を繋ぐことが「絆」で、絆を束ねることが、「結ぶ」ことで、そうしてできたものが「組紐」だと思う。人の命の繋がりは組みひものように美しいのだと思う。

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