伯父は二度、第二次世界大戦に徴兵された。一度目の時は本当に死ぬのが怖かったと言っていたが、二度目の時は、「生き残る術」をかなり身に着けていたらしく、最初とは比べものにならないくらい余裕もあったそうだ。伯父は長男だったので、「絶対に生きて帰る」が目的だったと言っていた。
その伯父が日本軍の最悪なところは何かということを教えてくれた。それが『万歳突撃』だったと言っていた。敵を前にして弾薬を使い切ると、将校が抜刀して「バンザ~イ」と言って突撃するのだそうだ。「あんな馬鹿なことはない」と、言っていた。簡単に敵に全員が撃ち殺されるだけだ。生きていれば、まだ戦うことができる。捕虜にされたら、脱走して、敵陣に切り込むことも破壊工作もできる。なのに、みんな死んでしまったのでは、兵隊も足りないし、戦場経験者に教わることもできない。自分みたいに二回も戦地に送られることになる、と言っていた。
「捕虜にされることが恥だ」とか「拷問されて、情報を奪われる」とか…。
「結局、国は兵隊を『信用していなかった』だけだ」と、つぶやいていた。
「お国のためになんか、死ぬもんじゃない。自分のために、生きろ。家族のために生きろ。」と、伯父は教えてくれた。
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