景色がちがう

 「女の子はね。下手な苦労はしない方がいいのよ。」と、学生の頃、女の子から話してもらったことがある。その苦労が何なのかは色々あるのだろう。
 「苦労は買ってでもしろ」と言われていたが、最近は、男だってあまり下手な苦労をしない方がいいように思う。
 「『下手な』苦労」の中身が問題だけれども、「『酷い』苦労」かな。
 失恋もそうだろうけれど、友人や知人のツラい出来事、身近な人の病いや死、日本中や世界中を騒がせるような出来事等々。直接は当然だけれども、間接的なものでも、「酷い出来事=苦労」はしない方がいいと思う。
 そんな経験をするたびに、「景気が変わる」。それまでの自分ではいられなくなってしまう。
 「現実を知れ」と言われることは多いし、生きている限り、そんな経験はいくらでもすることになる。そんな現実を突きつけられるだけで、それまでの自分ではいられなくなる。子どものままではいられなくなる。
 私は、「子どもでいられるのなら子どもでいた方がいい」と思っている。勿論、世間知らずの非常識な人間でいてほしいというのではない。「子どもらしさ」というのは、本当に素晴らしいものだと思う。
 美術の世界を少し知ったからか、教育という世界にいたからか、「子どもらしい」は「創造性の宝庫」だと思っているし、「素直さ」や「やさしさ」や「喜び」や「楽しみ」等々、「子どもの心」や「子どものまま」は生き生きと、のびのびとしていて、素晴らしい。
 それが、「いじめ」や「失恋」などを繰り返すたびに、ささくれて、頑なになっていき、生きる喜びを忘れてしまうように思う。
 何かを経験すると、もうそれまでの自分ではいられなくなってしまう。
 それでも、前を向いて、楽しく元気に生きてほしいと、心からねがい、祈る。

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