
小学校6年生の夏に当時通っていた教会の日曜学校の特別集会が開かれ、私は参加した。そこでその教会が言う「受霊」という体験をした。これは、聖霊様を身と心に受けるという体験で、アッセンブリーの教理とは多少違うが強烈な「霊的体験」だった。心から神様の愛に満たされ、歓びと幸せに満たされた。教会を出て家に帰る時、世界が光り輝く別世界のように美しく、神様の慈愛に満ち満ちていると思い、感動が続いた。
しかし、その日の夜夢を見た。まわりがすべて焼け野原になっていた、そこに父と兄が焼けただれた、まるで原爆にでも焼かれたかのような姿をしていた。それなのに、自分は地上から浮き上がって、どんどん天へと昇っていく。叫べども、父も兄も助けることができない。そして、目が覚めた時、顔中が涙で濡れていた。
「自分だけが救われる」、そう思った。家族の顔を見ても、学校へ行っても、涙が流れそうになるのを必死で堪えた。次の日曜日に教会へ行き、礼拝堂に入った瞬間に堰が切れたように泣き喚いた。
叔母と母と牧師婦人の先生が駆け寄って来て、「何があったの?」と、聞いた。それで、見た夢の話をした。すると「この子は『携挙』の夢を見たのだ」ということになり、携挙のことを説明してくれた。
小学6年生で「受霊」しただけではなく、「携挙の夢を見た子」として、私は「特別な存在」になった。
しかし、私は、「一人だけ救われるのはイヤだ」と思って、その後、教会へ行くのを止めた。
今は「一人でも多くの人が救われてほしい」と思って、牧師をしている。



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