音楽と私⑧-② オルガン実技

 「音楽の父」と呼ばれているとか中学校の授業の中で聞いたような聞かなかったような。そんな有名人の話を、大森先生から聞いた。
 「バッハはね、『三連符』で『三位一体』の神様を表現しようとしたのよ」という話は私の心を震わせた。それは、それまで私が生きていた世界と私の最も苦手とする音楽という世界を繋ぐ糸のように思えた。それはまた、私の絶望的な暗黒の世界を照らす一筋の光のように思えた。
 ムーやクェイクや諸々の陰謀論や宇宙人や心霊現象のような世界と最も崇高で神聖な神様の世界を繋ぐものだった。
 「音楽は建築学なのよ」という大森先生の言葉と共に、「音楽は科学であり、神学なのだ」と思った。
 大森先生の教えは私にとって、最も大切で素晴らしい神学の授業だった。
 オルガンの実技を取らせて頂いて、大学のピアノの実技以来十年ぶりくらいに鍵盤に触ることにした。しかし、実技授業の度にずうっと、神様の話をしていた。
 大森先生から聞く音楽の話はイコール神学の話だった。二人で毎週土曜日の午後盛り上がった。
 音楽の成績は「B」をもらった。音大を出た神学生でも「C」しかもらえないと聞いていたから、破格の成績だったようだ。M先生は「D」だったから、上の学校へは行けないんだ、と話しておられた。
 最後の授業の時に「白鳥のシュークリーム」を買って来てくださり、みんなで食べた。
 心からの感謝を贈りたい。

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