
大学に入って、突然美術をしなければならなくなった。勿論、選択希望をしたことはしたのだけれど、偏差値が低そうに思い選んだものだったが、本当に美術研究室の所属となり、本格的に美術をしなければならなくなるとは思っていなかった。
小学校過程の美術だったので、図画工作くらいに思っていたが、とんでもないことだった。それも、工作は好きだったが、図画の特に絵を描くというのは苦手だった。石膏デッサンをしなければならなかったのは、苦痛だった。
一応義理で高校の時に「絵画部」に所属していたが、どういう理由で入ったのかよく覚えていないという程度だった。ただ、一度隣の東高校と合同合宿で夏休みに二日間朝から晩まで絵を描いたが、水彩絵の具で40~50枚くらい学校の中の風景なり、物を描いたが、最後の品評会で「絵画ではない」との評価を頂いた。
そんなことで、とにかく美術の勉強をしなければならないと思い、一年生のゴールデンウィークに実家に帰り、高校の卒業間際に後輩の女の子に告白されて付き合うことになっていたので、初デートを兼ねて、ひろしま美術館を訪ねた。
本当は安宅コレクションに興味があった。確か当時その展覧会も広島でやっていた。
まぐれ当たりのようにひろしま美術館に行ったら、ゴッホの絵があった。ゴッホは初心者にもなじみやすいものだったので、興味を持って見た。
たぶん、上掲の絵だったと思うけれど、その前に立ってジッと見た。ゴッホの特徴の荒いタッチを見つめていた時に、身体に電気が走ったように感じて、震えた。
「今、自分の立っているところにゴッホはいて、この絵を描いたんだ」そんな思いが身体に満ちた。
作品を挟んで、作者と対話ができるように思った。これが「本物」の破壊力だと感じた。
その瞬間に美術が好きになった。
その後見た「油滴天目茶碗」では、涙が流れた。
でも、「『美しい』って何だろう?」と疑問に思った。それ以来、今もその答えはわからない。
ちなみにその女の子の名誉のために、その子は目の大きい、色白で、整った顔立ちの美人で、笑顔が可愛く、かしこい、優しいいい子だったが、その後すぐにフラれた。当然と言えば当然だと思った。幸せになっていてほしい。心からそうねがう。


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