731部隊

 昨日の朝日新聞に「中国でも映画も 731部隊とは」という記事が載っていた。以前に載させて頂いた「戦後八〇年・『昭和』一〇〇年 天皇制を問う 七三一部隊と松代大本営」という本の中でも、この「731部隊」の話が出て来る。
 私たち日本人は第二次世界大戦をどのように理解しているのだろうか。戦後80年の日本、そして、現代の私たちはそれをどう理解し、評価しているのか、あるいは理解・評価しなければならないのか、本当に考えなければならないのではないかと思う。
 私は戦後生まれである。だから、戦争に行ったこともなければ、韓国、中国、東南アジア、アメリカとも戦争もしたことがなければ、人殺しもしたことがない。しかし、戦後生まれの私たちは「無罪」ではなく、「人殺し国家の国民」として、海外から冷たい目で見られ、その償いのために、国際社会の中で、常に不利な立場に立たされ続けて来た。
 GHQ主導の東京裁判や、戦犯が取引して赦されたり、出世したりした。さらに朝鮮戦争での「神武景気」により、軍需産業が息を吹き返して、戦後の日本は戦前へと逆戻りして行った。
 しかし、この731部隊のような「非人道的」なものは、消えることなく日本の現代を脅かしている。
 そして、このあまりにも残酷で人非人のような行為を私たちの親や祖父母、曾祖父母世代の人たちがやっていたということの方が恐ろしい。
 「人体実験」ということを聞くだけで、寒気がするほど気持ち悪く残酷で、おぞましいものはない。そんなことを嬉々としてやっていたと思うと、現代の「猟奇殺人」など子どもお遊びくらいにさえ思う。
 私は広島の出身だったから、小学生の時だったと思うが、大久野島に臨海学校へ行った。大久野島は今は「ウサギの島」とか呼ばれているが、「毒ガスの島」として私たちは理解している。学生の頃だったか、海水浴をしていた人が、残っていた毒ガス兵器から毒ガスが噴き出したというニュースを聞いた。
 二度の原爆によって、壊滅的な攻撃を受けて、核兵器が非人道兵器だと言って非難しながら、自国の「細菌兵器」や「毒ガス兵器」は知らん顔をしている。
 まして、「人体実験」のことなど歴史から消し去ろうとしている。
 ホロコーストと、何の変わりもない。ドイツはホロコーストと正面から向き合っている。そして今はヨーロッパのリーダーである。それに比べて、日本は「知らん顔」し、なかったことにしている。
 だから、日本は「アメリカのポチ」から抜け出せないのだろう。

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