方言って…

 香川にいた頃聞いた言葉で面白いと思ったのが、「おごちそうさま」だった。
 普通なら、「ごちそうさま」だと思うけれど、それに「お」がついていた。
 「馳走」そのものが、「馬を走らせてまで良い食事を取り寄せた」的な意味だろうから、「馳走になった」というだけで、十分な感謝の言葉だと思う。現代の「お取り寄せ」という贅沢感はすでにこの言葉の中にあったのかと思うと日本人の感覚というのは、昔からすごいのか、相変わらずなのか、いずれにしても食事を大切に思っていることは確かなように思う。
 その「馳走」に「御」と「様」を付けるのだから、「御馳走様」とは何と丁寧で感謝の意を込めた言葉なのだろうか。
 それが、高松にいた頃に「お御馳走様」が頻発するのに驚いた。これを短く「おごっつぉさん」というのが、とても可愛らしくて面白かった。でも、これは男の人が言っていたように思う。女の人は「おごちそうさま」と言っていたような。男言葉とか女言葉とか最近はいよいよなくなっているようだけれど、以前はまだ残っていたように思う。京都には今もいっぱいあるみたい。
 広島は言葉があらいので有名なのかもしれないけれど、子どもの頃に年寄の女性が「ワシ」と言っていたのは、当時でもちょっと引いたような気がする。今は言わないと思います。
 香川は関西のイントネーションだったと思いますが、広島は関東に近いアクセントだったようで、所謂「橋・箸・端」問題に引っ掛かって、以来言葉に自信がなくなった。

 神学生の時に、関東の教会の日曜学校で、公園伝道をした時に、子どもたちに「一羽のすずめ」のお話をした。その時に「小鳥」の話をしたら、そのアクセントがおかしいと言って子どもたちに大笑いされたことがあった。翌週また出かけたら、子どもたちが私を見つけると走り寄って来て「ことりのおじさん」と囃した。この時の「ことり」はたぶん「子取り」の方だったのだと思った。それで、マジな顔で「それやめて!」と言ったものだから、子どもたちには大うけで、毎週公園伝道に行くたびに「『子取り』のおじさん来た~!」と、追い掛け回され、追いかけると「子取りのおじさん来た~! コワい~!」と叫びながら逃げて、鬼ごっこになった。随分とブラックな鬼ごっこだった。
 絶対に家で言っていたと思うけれど、当時は寛容で毎週子どもたちと楽しく遊べたのを懐かしく思い出す。

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