北風と太陽

 イソップ物語のお話としてとても有名なものなのだと思うけれど、世界中の人はこれを読んでいたり、聞いたことがあって、みんな知っていると思ってもいいのだろうか。
 最近というか戦後ずうっと中国の日本に対する姿勢は北風だったように思うが、1972に日中国交回復された頃、パンダが日本に来た頃は太陽のような対応だったのかも知れない。でも今、パンダがいなくなったのが象徴的であるように、現在の日中関係は北風対応のなのだろう。
 北風がどんなに強く吹いても旅人からコートを奪い取ることができないのは、ウクライナがどんなにひどい目にあってもロシアに白旗を上げないことからも理解できるように思う。もし、コートを吹き飛ばされたら、ウクライナは死んでしまうのではないかと思ってしまうから、そう簡単にはいかないだろう。
 以前に韓国は北朝鮮に対して「太陽政策」を掲げて、親密度を上げていたが、太陽政策をやめると2020年に「開城(ケソン)工業団地」を爆破した。結果的に韓国の「太陽政策」は北朝鮮にとっての甘い汁でしかなく、北朝鮮が態度を変えることは全くなかったし、今は以前よりも強固になっている。
 アメリカのイランやベネズエラやキューバに対する対応もすべて「北風対応」のように見えるけれど、なかなかうまく行っているようには見えない。
 実際に、「北風と太陽」のやり取りというのは、意味のあることなのだろうかと疑問に思う。それよりは使い慣れた「アメとムチ」の方が効果的な気がする。
 でも、現実的には、北風の中国と太陽(最近は少し塩太陽だが)のアメリカとが、旅人である日本には関係なく、日本の取り扱いを決められるのは「主権国家としてどうなのよ」と言いたくなるのはわかる気がする。
 そう言えば日本は第二次大戦までの韓国、北朝鮮、中国、アジアに対する対応は、やはり北風だったのだろう。そうでなければ、戦後80年経っても、全然赦してもらえているように思えないのだから。
 現代の「北風と太陽」だと寒波と熱波の両方で、太陽にも殺されそうになっている気がする。
 北風と太陽という圧倒的に強い国が争って、日本のような弱小国家は振り回されるばかりである。
 高市さんにネズミになって頂いて、「窮鼠猫を噛む」くらいはしてほしい気はするけれど、一歩間違えば、ネコパンチ一撃でエサにされてしまいそうだ。その「一矢報いる」というのが、憲法改正なのだろうか。
 ただ、日本の政治は戦後はずうっと、未来志向ではなく過去への回帰のように「後ろ向き」に見える。でもこれは、アメリカも「良き昔の偉大なアメリカに戻る」というのだから、日本だけではなく世界中が「後ろ向き」に見える。
 優しく紳士的なジャイアンよりも、乱暴で漢気のあるジャイアンの方がいいということなのかも知れない。しずかちゃんのような「まともで賢い女の子」では主人公にはなれないのかも知れない。
 太陽のような優しい国はもう無いということかも知れない。

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